美肌診療所

皮膚科医が教える難病「天疱瘡」のあれこれ

天疱瘡(てんぽうそう)という皮膚の病気についてお伝えします。

実際、患者さんはこの病気で苦しんでいると思います。

頻度の高い病気ではないからこそなぜ自分が、、
って思いますよね( ;;)

難病指定にもされてりる天疱瘡ですが、
一体どのような病気なのでしょう。

天疱瘡とは??

天疱瘡とは、自分自身を自分の免疫が攻撃してしまう自己免疫疾患です。

主な症状としては皮膚、口の中の粘膜などに水疱(水ぶくれ)、びらんができてしまいます。

免疫というのは外からやってきたウイルス、細菌、異物などの
自分以外のものを排除する役割があります。

私たちの体にとって通常良いことをしているのが免疫ですが、
間違って自分を攻撃してしまうのが「自己免疫疾患」というものです。

天疱瘡という病気は皮膚、口腔粘膜、食道などの粘膜の表面にある接着をつかさどる蛋白があるのですが、
その蛋白に対して自己抗体(IgG)が産生されてしまいます。

IgGが蛋白の接着機能を抑えてしまうため、
水疱ができて、その水疱が簡単に破れてびらんが生じてしまいます。

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天疱瘡の種類は??


天疱瘡には2つの病型があります。

①尋常性天疱瘡
②落葉状天疱瘡

ほとんどの患者さんは尋常性天疱瘡です。
いずれも他人にうるつことはありません。

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天疱瘡の症状

①尋常性天疱瘡
まず口腔粘膜にびらんが出現します。
口腔内のびらんで痛みがひどいと飲食ができなくなってしいまうリスクもあります。

尋常性天疱瘡の半分くらいの患者さんは、口腔内以外の皮膚にも(体のどこにでも出ます)
水ぶくれ、びらんが出現します。

早期に治しないと、びらんが広範囲に広がり、
二次感染や体液の漏出により重症になってしまう可能性があります。

②落葉状天疱瘡
口腔に水泡やびらんができることはなく、皮膚だけにできます。
水疱が皮膚の浅いところにできるため、すぐに水疱が破れてびらんだけが多く見られます。
ですから水疱をみることはまれとも言えます。

治療法はあるの??

皮膚や口腔内のびらんが広範囲に広がり数日経っても治らないようであれば
早めに皮膚科を受診してください。
血液検査や皮膚生検などを行い、確定診断をします。

そして診断がついたら、早期に治療開始することが重要です。

初期治療が不十分ですと、後に再発を認めることがあるので注意が必要です。

自己抗体を作り出すB細胞という細胞は、骨髄、脾臓、リンパ節などの、
皮膚、粘膜とは異なる全身に存在します。

ですから治療には自己免疫反応を抑えるための、全身療法が必要になってきます!!

一番スタンダードな治療法が「ステロイド内服」です。

症状や状態に応じて他に免疫抑制剤、血漿交換療法、大量γグロブリン療法などがあります。

よほど軽度でない限り、基本的には入院して
しっかりとした管理の元、治療開始していきます。

最後に、、

いずれの治療もすぐに治るというわけではないので
時間をかけてゆっくり病気と付き合っていきましょう。

怪しい症状や普段と違う皮膚の状態が続いたら
そのうち治るだろう
と思い込まないで、まずは近所の皮膚科を受診しましょう。

どの病気もそうですが、早期発見がとても重要になってきます!!

しっかり診断を受けて、治療を行い
健康な肌を目指していきましょう。