乾癬(かんせん)ってどんな病気だか知っていますか??
知らない人は全く聞いたこともないと思いますが、
人口の約0.1%の方が乾癬を患っています。
ちなみに白人では人口の2〜3%のの割合で患者さんがいます。
昔は日本人にはまれな病気と考えられていましたが、
徐々に増加傾向にあり、意外と皮膚科の患者さんでも来院される方は多いです。
乾癬とは??
乾癬とは銀白色の皮膚の粉が付着して
境界がくっきりした盛り上がった紅斑が全身に出る病気です。
乾癬にはいくつかの病型があるのですが、
90%位がこの症状で、尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)と呼びます。
大きさ、数、形などはバラバラで、いくつもの発疹がくっついて大きな病変になることもあります。
乾癬は全身のどこにでもできることがあるのですが、
特にこすれる場所に出やすいという特徴があります。
頭部、肘(ひじ)、膝(ひざ)、腰まわりが多いです。
頭部というのは、髪の毛が伸びる時、毛が皮膚をこするため好発部位となります。
20〜50代に発症することが多いとされています。
目立つので悪性の疾患に思われがちですが、
通常、内臓を侵すことはありませんので安心してください!!
ですがかゆみ、爪の変形、関節炎などを伴うこともありますし、
まれですが発疹が全身におよぶこともあります。
乾癬の患者さんは常に見た目を気にして生活しています。
そして周りも無知なことが多く、うつるのではないか
と謙遜しがちです。。
ですが、乾癬はうつりません!!
この見た目における周囲の目も
患者さんにとってとても辛いとも言えます。
原因はなに??
実はまだ完全には解明されていません。
皮膚の一番外側の皮膚の代謝期間が短くなり、
角化細胞がこの銀白色の皮膚となって剥がれ落ちます。
これに炎症が加わり皮膚は赤く盛り上がってきます。
正常な皮膚の代謝期間は28日サイクルですが、
乾癬の場合は4~5日という短さで新陳代謝が亢進した状態になっています。
乾癬になりやすいという遺伝的素因があることは解っています。
遺伝的素因+環境因子(不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症など)が加わると
発症しやすいと言われています。
血縁関係のある方に乾癬が居て
自分も怪しいできものが発症したら乾癬かもしれませんので
すぐに皮膚科へ行って適切な診断を受けてください。
適切な治療法を受けよう!!
乾癬は慢性で軽快と悪化を繰り返してしまうので、
その時の患者さんの病気状態に合わせて臨機応変に治療法を選択していきます。
基本的に乾癬の治療法は4つに分かれます。
外用療法
外用療法は乾癬治療の第一選択になります。
基本的にビタミンD3外用薬とステロイド外用薬を使用します。
現在ではビタミンD3とステロイドの配合薬(2016年販売開始したマーデュオックス軟膏)が発売され、
1日1回の外用で済むことから、患者さんの負担が軽減されています。
光線療法
光線療法と言って、患部に光を当てて治療する方法です。
病因となる細胞がやつけられる+病気を抑える作用のあるT細胞の誘導などが考えられています。
使用する光線の種類で2つに分類しています。
UVA(紫外線A波)
PUVA療法:ソラレンという紫外線に敏感になる薬剤に長波長紫外線(UVA)照射を組み合わせたものです。
照射前にソラレンを体に行き渡らせる必要があるので、
指示された時間に、外用or内服or薬剤の入った風呂に入浴する
という方法をとって薬剤を浸透させます。
UVB(紫外線B波)
UVB療法は、ソラレンなどの薬剤を使わず、
中波長紫外線(UVB)照射を行います。
311~312 nm Narrow band UVB(NBUVB)や308 nm エキシマライトもUVB療法です。
光線療法は出来ない人もいるので、
医師からの問診には正確に答えましょう。
(妊娠・授乳中、10歳未満、皮膚がんの人など)
内服療法
内服療法としては、免疫抑制作用を有するネオーラルの内服や
角化異常症治療薬でビタミンA類似物質であるチガソン、
免疫調整薬であるオテズラなどがあります!!
オテズラに関してはこちらの記事を参照ください⬇️
生物学的製剤
今まで関節リウマチなどで使用されていた生物学的製剤(レミケード、ヒュミラなど)が
2010年から、乾癬に対し適用追加がありました。
その後も次々と多くの薬が承認されています。
(ステラーラ、コセンティクス、ルミセフ、トルツ)
一番最近では2018年にトレムフィアという薬が承認されています。
これらの薬は副作用も怖いので決められた大きな医療期間でしか
投与できません。
日常生活での注意点は??
まずはバランスの良い食事が重要です。
カロリーのとりすぎは乾癬を悪化させるので注意が必要です。
またストレスも皮疹を悪化させますので
なるえくストレスを溜めない生活を心がけてください。
そして、日光浴も効果があります。
ですが、紫外線照射で逆に悪化する患者さんもいるので
過度な日光浴は避けるようにしましょう。
最後に、、
乾癬はなかなかすぐには治らず、ストレスを与えてしまう病気だと思います。
ですが、どんどん新しい薬が出てきており、
効果を発揮しています!!
まずは皮膚科医に相談して自分にあった最も良い治療法を見つけましょう!!
いつか綺麗な肌を取り戻せるように願っています★