皮膚科をやっていて塗り薬を多く処方しますが、もちろん内服薬もたくさん処方します。
薬によって内服方法が違ってきます。
正しい内服方法をしないと効果が発揮されないので注意が必要です。
また、薬にはそれぞれの特徴があります。
私の初めて知った時、こんな薬があるんだ〜と興味を持った記憶がありますね。
薬の服用時刻は作用の仕方を考慮することが大事
その薬の種類によって私たちの身体に様々な作用を及ぼしますね。
服用のタイミングを考慮しないと、日常生活に思わぬ障害をおよぼす場合もあるのです。
薬はただ単に効けば良いというわけではなく
にQOR(生活の質)も考慮すべきなのです。
ここまで読んでもいまいちピンとこないと思いますので
例をいくつか挙げます。
例えば、利尿剤(尿量を増加させる作用がある)を眠前などに服用すると
夜間に尿が近くなって頻回にトイレへ行くようになってしまいます。
抗アレルギー薬(花粉の薬など)には眠くなるものがあるのですが、
それを内服したら車の運転等は控えなければ事故をおこす危険があります。
ほんの一例ですが、このように薬の服用時間は患者さんにとって
とても重要なタイミングなのです。
もちろん医師はそういうことも考慮しながら内服時間などを指導するのですが、
都合が悪い場合は医師を相談して決めてみてください。
食事との関係って??
昔は薬はそれほど食事との関係を考える必要はなかったのですが、
最近の薬は食事の有無で効果が強く出すぎたり、吸収を悪くされたり、
食事と一緒に飲まなければ胃などの粘膜を痛めてしまう可能性のあるものまであります。
食事と薬は関係なさそうで関係がとても深く、
服用のタイミングを正しくしないと、副作用のみが出てしまうような薬が多くなっています。
ですから食事と薬の関係をしっかり把握してください。
薬を飲み忘れたら??
これは子供から高齢者まであるあるの問題ですよね。
習慣づいていないとふと飲み忘れてしまうものです。。
飲み忘れに気づいたら次の服用時間まで、時間がある時はその時にすぐ飲みましょう。
次の服用時間に近かったり、その時間がきてしまった場合は、1回分はスキップしてください。
一番NGなのは2回分をまとめて飲んだりすることです。
作用が強くなりすぎて副作用が生じてしまうことがあります。
時間ごとに服用するものは、血中濃度をある水準に保つために計算されて時間を決めているので、
次の服用時間をずらすなど工夫すると良いでしょう。
薬の正しい飲み方
内服薬にはそれぞれ正しい飲み方があります。
基本的にはコップ1杯の水で噛まずに内服することが多いです。
もし水分摂取量に制限がある方は少量の最低限の水で内服します。
ですが、注意が必要なのは特に高齢者の場合です。
高齢者は様々な生理機能の低下がみられ、
飲み込む力の低下や唾液流量も少なくなっています。
薬を飲むときに必要な水を摂らないと、
薬が食道に付着して薬剤性の潰瘍を生じる危険性もあります。
また、寝たきりの高齢者の場合は、
なるべく体を支えて起こして内服させてあげることも重要です。
内服薬には
「錠剤・カプセル剤・粉薬・液剤」などが代表的なものになりますが、
変わった内服方法をしなければならない薬もあります。
いくつか紹介しますね1!
(1)バッカル錠
バッカル錠の「Buccal(バッカル)」とは、
英語で「頬の」、「口の」という意味です。
錠剤を歯茎と頬の間にはさんで、唾液で溶かして服用し、
有効成分を口腔粘膜より吸収させる錠剤です。
正しく服用できていないと薬の成分が吸収されずに効果が出ません。
癌性疼痛の鎮静に用いられるイーフェンバッカル錠という薬がこの方法で服用します。
「上顎臼歯の歯茎と頬の間に錠剤を挟んで置いて、自然に溶かして口腔粘膜から吸収させるように」
と注意書きがされています。
口腔内崩壊錠(こうくうないほうかいじょう、OD錠)
これは水がなくても服用できる、唾液や少量の水で溶けるように作られた錠剤です。
高齢者など、嚥下機能が低下している患者さんや、
水分制限されている患者さんでも飲みやすいようになっています。
気づいていないだけで意外とあるものです。
薬のシートを見てみると「OD」などという単語を目にするかもしれません。
薬の名前の末尾に「OD」または「D」が入っている事が多いですよ。
OD錠のほかに、D錠と呼ばれる口腔内崩壊錠があるのです。
このD錠というのは「速崩錠」とも呼ばれ、OD錠とは別物です。
口腔内崩壊錠は、口の中で溶けるので口腔粘膜から有効成分が吸収していると思われがちですが、
有効成分の吸収は、消化管になります。
ですから口で溶かさずに水で飲み込んでしまっても、特に問題はありません。
舌下錠(ぜっかじょう)
文字の通り、舌下錠は、飲み込んだり、かみ砕いたりせずに、
錠剤を舌の下、または歯茎と頬の間に入れて、唾液で自然に溶かす薬です。
有効成分を口腔粘膜から吸収させる錠剤なので飲み込んでしまっては効果が発揮されません。
口の粘膜から直接吸収されるため、効果が出るのが早く、
一番有名な舌下錠としては狭心症発作の薬のニトロペン舌下錠というものがあります。
誤って飲んでしまったら、薬によりますがもう1錠追加投与する場合があります。
ニトロペン舌下錠は、効果がなくなってしまうので、すぐにもう1錠服用しないとなりません。
ですが全ての舌下錠が追加内服するとは限りません。 自分の薬が謝って飲み込んでしまった時、どうすれば良いのか確認しておく必要があります。
チュアブル錠
この薬は噛み砕いてだ液で溶かして飲む錠剤です。
先ほど解説した口腔内崩壊錠(OD錠)と似ていますが、
チュアブル錠は口で溶かすのではなく、噛み砕いて細かくしてから、だ液で溶かして飲むのです。
そのまま噛まずに飲み込んでしまったとしても、薬効がなくなるわけではありませんが
そのまま飲み込んでしまうと錠剤が溶けにくく、吸収が低下したり、遅れる可能性があるので注意が必要です。
口腔内貼付剤
口内炎のように口腔内に患部がある疾患で、
患部に直接錠剤を張り付ける薬です。
直接貼り付けることで痛みを和らげる効果もあります。
トローチ
口腔内で溶貸して、殺菌する作用があります。
使用した方なら分かると思いますが、ラムネのように甘いです。
糖を含んでいるので、虫歯予防の観点から小児への使用を避けることもあります。
同じ形だからってむやみに水で内服すればよいというものではありません。
自分の薬がどのような内服方法なのか
しっかり確認してから使用しましょう!!