今回は汗をかくと出現する蕁麻疹(じんましん)について解説します。
みなさんも原因はわからなくても全身に蕁麻疹が出てびっくりした経験があるかもしれませんね。
蕁麻疹はありふれた症状で、珍しい病気ではありません。
ですが、明らかな原因が分からずに慢性蕁麻疹で困っている患者さんも多いのが現状です。
こちらの記事も参考にしてください⇩
汗は慢性蕁麻疹の原因になっていることもありますが、
「汗」が関係する蕁麻疹はもしかしたら「コリン性蕁麻疹」かもしれません。
汗が関与する蕁麻疹の症状は??
例えば運動後やお風呂に入った時、緊張などで汗をかくと、蕁麻疹がでる方がいます。
一般的によく知られている蕁麻疹は、蚊に刺されたような赤く盛り上がったかゆい発疹がでます。
これは、専門用語で「膨疹(ぼうしん)」と呼びます。
しかし、コリン性蕁麻疹の発疹は数ミリ大の点状のポツポツとした赤い発疹が左右対象に出現することが多いです。
そしてかゆみだけではなく、「ピリピリとした痛み」を伴うことが多いのです。
かゆみだけ出なく、ピリピリ感を伴うので患者さんは辛いと思います。
コリン性蕁麻疹は、小児期から青年期に多くみられますが、
高齢者がコリン性蕁麻疹になることはありません。
発症の原因としては、詳しいことは分かっていませんが、
自分の汗に対する過敏性が関与していると言われています。
そして汗をあまりかかない人によく出現します。
汗をかきやすい夏には症状が落ち着き、汗をかきにくい冬に症状が悪化することが多いです。
コリン性蕁麻疹の名前の由来は??
作られた汗は汗の管を通り、皮膚の表面にでてきます。
交感神経は「アセチルコリン」という物質を介して汗の腺に働きかけますが、
このアセチルコリンが、蕁麻疹に関与していると考えられているのでこのように「コリン性蕁麻疹」と呼ばれ流のです。
特発性後天性全身性無汗症
先ほども記述しましたが、コリン性蕁麻疹の患者さんの多くは発汗が少ないので
「減汗性コリン性蕁麻疹」とも呼ばれています。
汗をかかない特発性後天性全身性無汗症に、コリン性蕁麻疹が合併することがあり、
診断基準にコリン性蕁麻疹も入っています。
コリン性蕁麻疹は、運動や入浴や緊張などでの発汗が引き金となって
ポツポツとした発疹が出現することで診断されることが多いです。
診断時に発疹が出ていない場合もあるので、皮疹が出現した時に写真を撮っておくと良いでしょう。
それを見せていただくことで、診断ができる場合もあります。
原因となっている可能性があるアセチルコリンをあえて皮内注射して
皮疹が出現するか確認する方法もあります。
一般的な蕁麻疹は抗ヒスタミン剤の内服ですが、
コリン性蕁麻疹も同様に抗ヒスタミン剤の内服から始めます。
抗ヒスタミン剤はたくさんの種類があり、眠気があるなし・効果が早い・長い・強いなど
色々な種類があるので、患者さんのライフスタイルに合わせて検討していきます。
コリン性蕁麻疹では、運動などで積極的に発汗をすることで、蕁麻疹も改善することがあると言われています。
医師と相談しながら少しずつ運動量に不可をかけていく必要があります。
まとめ
運動などの後にピリピリとした痛みを伴う細かな蕁麻疹が出現したら、
もしかしたらコリン性蕁麻疹の可能性があります。
蕁麻疹は数時間で跡形もなく消失する場合もありますので、すぐに皮膚科に行けない場合は写真を撮っておきましょう。
症状も辛く大変だとは思いますが、時間をかけてゆっくり治療していきましょう。