無意識、または意識的に皮膚をむしってしまうって方、
「皮膚むしり症」って知っていますか??
それは心も関係しているかもしれませんよ。
皮膚むしり症って??
皮膚むしり症とは、皮膚の凹凸や角質だけでなく、
また、皮膚のどこかに痒みがあったり、身体疾患や皮膚疾患などがないにもかかわらず、
自分の皮膚(健康な皮膚まで)を何度も掻きむしるのを止められない病気です。
掻きむしってしまうのを辞めようと思っていても
辞められないから病気なのです。
この病気は3/4以上が女性がなると言われています。
よく対象となる部位は
顔、腕、手などの手の届きやすい部位ですが、
多くの人が複数の部位で皮膚むしりを行ってしまいます。
特定の部位をむしりすぎて傷がついてしまうと
次の別の部位をむしるようになります。
ですからどんどんターゲットになった部位の皮膚をむしってしまうのです。
自分の手でむしる以外にも
徹底してピンセットや針など道具を使うこともよくある話です。
また、皮膚をこすったり強く抑えたり、何かで刺す、噛む人もいます。
普通では考えにくいかもしれませんが、
患者さんによっては引き剥がした皮膚をまじまじと見て調べたり、
もてあそんだり、口に入れたり・・など
行ってしまう場合もあります。
患者さんの心の具合としては
皮膚をむしろうとする直前には緊張感(ワクワク興奮する感じ)が高まり、
むしり終わった後は満足感や快感、安堵感、達成感を得る人が多いのです。
しかし、その後に正常な皮膚になりたいのにこんなに傷つけてしまった、、
などと後悔や罪悪感に悩まされることが多いのです。
患者さん本人は皮膚むしりという行為を恥ずかしいと感じているので、
傷を化粧や衣類、絆創膏などで隠したりする傾向があります。
恥ずかしい行為だと思っているので
もちろん他人の前ではあまり皮膚をむしりません。
酷くなると外出を控えたり、イベントごとを避けたりする人も多いのです。
皮膚むしりをしてしまったり、むしりたい衝動に襲われる時間は
1日数時間におよび、むしることばかりにとらわれることで
日常生活に支障をきたします。
皮膚むしり症と心の関係
皮膚むしり症は「強迫症」と似たところがあり、高い確率で併発します。
しかし、強迫症は皮膚の異常についての強迫観念から
皮膚むしり行為をしなければならないという脅迫概念が生まれますが、
皮膚むしり症はそうではありません。
また、皮膚むしり症は皮膚をむしったあとに心が落ち着き、
快感を感じることがありますが、強迫症でそうしたことはほとんどありません。
皮膚科では皮膚の治療を最優先に行いますが、
心療内科では強迫症と同じような治療を行います。
皮膚むしり症は
皮膚科と心療内科が協力して
治療していかなければならないのです。
治療方法
皮膚症状は皮膚科で簡単に治療できることが多いですが、
心の問題の方は、有効な治療法のデータはほとんどなく、
治療が難しいとされています。
精神疾患の治療薬SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)など、
いくつかの薬物が有効という報告があります。
ほかに心理的治療や皮膚を搔きむしれないようにガーゼなどで保護することが良いとされていますが、
かきむしりたい衝動が強く、ガーゼなども取ってしまうことでしょう・・
「治療方法」をお話しましたが、
そもそも患者さんは皮膚むしり症であるのを恥ずかしいから受診しない、
または病気だとわかっていないことが多いので、
なかなか効果的に治療ができないのが現状です。
原因
遺伝要因と生理学的要因があります。
一見遺伝は関係ないようですが、深く関係しているので
親族の方に強迫症などをもつ方がいるかもしれません。
皮膚むしり症は一般人口に比べて強迫症を持つ人や、
その第一度親族に多く見られます。
皮膚をむしるという行為は、本人が意識していなくても
不安や退屈が引き金となることがあります。
診断
診断を支持する特徴は以下の通りである。
A. 皮膚の損傷を引き起こす繰り返される皮膚を掻く、剥がす、むしり取る行為
B. 皮膚を掻く、剥がす、むしり取る行為を減らしたりやめようと繰り返し試みるがうまくいかない。
C. 皮膚を掻く、剥がす、むしり取るによって、臨床的に意味のある苦痛、または、社会的、学業的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
D. 皮膚を掻く、剥がす、むしり取る行為は、物質関連障害または身体疾患によるものではない
E. 皮膚を掻く、剥がす、むしり取る行為は、他の精神疾患の症状ではうまく説明できない。
もしご自身が上記に当てはまり、困っている場合は
早めに皮膚科、心療内科を受診すべきです。
少しでも治療できれば日常生活が楽になるかもしれませんよ(^ ^)